2009年11月8日日曜日

"How We Decide" 読了

英語の勉強用にと始めた Dokusho in English、今回は "How We Decide" を読んでみました。

仕事でUSから来日していた同僚がこの本を読んでいるのを見かけて、おもしろそうだと思って買ってみました。
「意思決定の為の方法論の本かな?」と期待していたのですが、実は脳科学の本でした。。

期待は外れたものの、ここ数年のうちに明らかになった研究結果なども多く取り入れられていて、結構知らなかったことが満載で新鮮でした。


まず最初にビックリしたのは、人間の意思決定には感情が非常に重要であるということ。
理性(論理性)と感情の2つを考えた場合、意思決定は常に論理的に行えるんじゃなかな。。と素人考えをしていたのですが、脳の障害で感情がなくなってしまった人はレストランでメニュー一つ決めるのでさえなかなか決まらず苦労するそうです。


また、非常に選択肢が多い中から選んで購入する場合、長く考えれば考えるほど購入した後に後悔する確立があがるという実験結果もあるそうです。
つまり、選択肢について論理的に比較をすればするほど、脳が混乱してしまって本来重視すべきものが見えなくなって間違った選択をするようになるそうです。

例えば、コンテストで賞をとるようなジャムや、とにかく安さで勝負の品質にこだわっていないジャムなど、複数のジャムを並べて、一般人に評価してもらった場合に以下のような傾向がでたそうです。

・グループ1(直感で選んでもらう)
それぞれのジャムを実際に食べて評価するように指示されたこのグループは、専門家とほぼ同じように順位付けができたそうです。

・グループ2(じっくり検証してもらう)
柔らかさや甘さなど、ジャムの特性別に点数をつけるようにして評価を行ったこのグループは、専門家や上記のグループ1で最低ランクだったジャムに最高得点をつけてしまったそうです。

高級ジャムよりもそのジャムの方が、柔らかいのでパンの上で伸ばしやすかったり、特に甘くしてあったりするので、各項目毎の評価点にまどわされてしまい、総合的な判断を誤ってしまうんだそうです。



他にも、非常にたくさんの実験結果が紹介されていて、その実験結果を脳科学的に分類してあります。
例えば
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・パズルを解いた子供を褒める時に「天才だね」みたいにその子の知力を褒めるのと、「よく頑張ったね」と労を褒める2グループに分けて調査したところ、前者には向上心は芽生えず、後者はどんどん頑張って難しいパズルにチャレンジしたそうです。
知力を褒めるということは、「リスクを犯さずに卒なくこなしなさいね」と言っているようなものらしいです。


・600人が死に至る状況下で取り得る処置として「1/3の確立で全員を助けられるが、2/3の確立で全員が亡くなってしまう方法」と「200人は確実に助けられる方法」があったら・・という質問をすると、大抵の人は後者を選んだそうです。
でも、後者の言い方を「400人が死んで残りが助かる方法」と言い換えると、今度は前者を選ぶ人が多くなったそうです。


・自閉症は、相手がどう感じるかを感じ取りにくくなるそうなのですが、自閉症ではなくても権力を持つと脳内では同じような回路になり、横柄な態度を平気でとったりすることになることがあるそうです。

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などなど。


単に実験結果だけが紹介されている訳ではなく、ちゃんと重要な脳の部位やその役割についても、素人にわかりやすく紹介されています。それを補足する形で実験結果が付属するという構成です。

備忘録がてら、この書籍中にでてきた主な役者(脳の部位)は
・Prefrontal cortex ... 論理的に考える人
・ACC (anterior cingulate cortex) ... 失敗を学習させてくれる人
・Insula ... 冷静な人。「そんな高いものは買えない」等の意見が言える人
・NAcc (nucleus accumbens) ... 快楽や新しいものへの反応を担当
だったように記憶しています。



率直な感想としては、実験結果のオンパレード&説明がしつこいので、後半は読むのがとても苦痛でなりませんでした。。
でも、学ぶことが多く、たまにはこう言う本を読むのも新鮮で良いですね。

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